高品質に向けて

 

美しく、読みやすい新聞を読者や広告主の皆様にお届けするため、読売新聞は、新聞印刷の技術開発や環境負荷軽減の研究に取り組んでいます。読売大阪プリントメディアも、読売新聞東京本社制作局、同大阪本社制作局と協力し、日々、新聞印刷の品質向上に努めています。

以下は、高品質な紙面の実現を目指し、導入された最新の印刷技術です。

高精細AMスクリーン

印刷では、細かな点(網点)の集まりで、文字や画像を表現します。この細かさを表す尺度をスクリーン線数と呼び、数値が高いほど精細な表現ができます。新聞で使用されているスクリーン線数は従来、カラー120線前後が主流でしたが、読売新聞では高品質な印刷が可能なAMスクリーン(カラー290線、モノクロ200線)を採用しました。2020年9月から運用を開始しています。 

高精細化にはAMスクリーンとFMスクリーンという2つの技術がありますが、品質的にそれぞれ特徴があります。 

高精細AMスクリーンは、大きな図柄における紙面全体の印象やメリハリ・立体感・滑らかさなどの点で有利です。高精細FMスクリーンは、小さな図柄での細部の再現性やロゼッタパターン(注)が出ないなどの点で有利です。 

読売新聞では、どちらが品質的に優位かを総合的に判断し、高精細AMスクリーンを採用しています。

(注)ロゼッタパターンとは 色の掛け合わせにより網点の角度で発生する、亀甲状模様

インキ量最適化ソフト・GCR機能

新聞輪転機では、藍(青)、紅(赤)、黄の「色の三原色」と墨(黒)の4色で、すべての色を紙面に表現します。三原色の藍紅黄の3色が混ざり合うと黒になります。GCR機能は、カラーの図柄で、この藍紅黄のインキ量の一定の割合を、墨のインキに置き換えます。これによって墨インキの使用量は増えますが、4色(藍紅黄墨)のインキ全体では使用量を減らせる機能です。 

商業印刷では既に実用化されていましたが、新聞印刷への適用を目指し2010年5月からテストを開始、広告部は2010年11月から、記事部は2011年5月から本格運用を行なっています。 

インキ量削減により、裏面の図柄が表面に透けて見える「用紙裏抜け」や、接触する面に図柄が写る「転写汚れ」の軽減だけでなく、藍紅黄のつり合いで灰色を表現する「グレーバランス」やカラー彩度などの品質向上にも貢献しています。

高濃度多色インキ

高濃度インキは、インキの顔料成分を増量する事で色の濃度を高め、従来のインキよりも少ないインキ量で濃度感を再現することができます。読売新聞では2009年から調査を開始し、2011年度までに実際に運用をスタートさせています。 

インキ量の削減については、紙面の図柄により異なりますが、10~20%以上であることが確認できています。用紙の裏抜けや転写汚れ、輪転機周辺に漂うインキミストの減少、網点がにじんで実際の色より濃く見える「ドットゲイン」の抑制・安定化にも効果が出ています。

 

(このページは、読売新聞東京本社制作局、同大阪本社制作局のご協力を得て、作成しました)